民法

民法改正で変わる!事業用融資や賃貸契約での連帯保証人や保証会社

「民法が改正されたと聞くけれども、何が変わったの?」

民法が制定された1896年から、およそ120年ぶりに民法が改正され、2020年4月1日から施行されました。

大きく変わった内容の一つとして、「連帯保証人」の保護が補強されました。

民法改正と言われても、取っ付きにくいイメージがあるかもしれませんが、連帯保証人で新しくなったことのうち、重要な部分は大きく次の3つだけです。

・連帯保証人に「極度額」を定める必要がある

・民法改正前の契約の更新時の取り扱いにより新旧の適応される法律が異なる

・連帯保証人に変わって保証会社の役割が重要

この記事を読んで、民法改正で新しくなった連帯保証人の扱いについて、サクッと整理をしてしまいましょう!

民法改正で変わる事業用融資における連帯保証人の手続き

事業用融資を受ける場合、民法改正後に、連帯保証人についておもに3点注意すべきことがあります。

保証人意思宣明公正証書が必要

連帯保証人を取る際は保証契約の締結日前1ヶ月以内に、公証役場へ申し込みをし、公証人による保証意思確認の手続きが必要になりました。

「保証人意思宣明公正証書」を作成してもらうことになります。

情報提供の義務化

融資を受ける人は、事業用融資(事業のための借入)の場合、主たる債務者(融資を受ける人)から連帯保証人になってくれる相手に、収支や財産、借金などの負債状況を情報提供しなければならなくなりました。

連帯保証人からすると、「このまま連帯保証人になっても問題ないか?」と不安に思うことがあっても、2020年4月の民法改正があるまでは、何も情報提供について根拠がありませんでしたが、この度の改正で情報提供が義務化されました。

極度額の設定

連帯保証人が保証契約時に負担すべき保証範囲が明らかにならないまま、多額の費用について保証を迫られることがありましたが、そのようなリスクを回避するために、改正民法では、事前に極度額の定めが必要となりました。

 

民法改正で新しく変わる賃貸契約における連帯保証人の手続き

賃貸に住んでいると、借主が家賃を滞納したり、お部屋を汚したりしてしまうことがあります。

家賃の滞納や修繕費を借主は支払わなければなりませんが、借主が支払えないときに、連帯保証人が代わりに支払いの責任を負うことになります。

負うべき責任の範囲について、賃貸契約においてもこれからは、極度額の設定が必要です。

そのため、賃貸契約に、次のような記載をしなければなりません。

・連帯保証人は賃借人に対し、賃借人が本契約上において負担する一切の債務を極度額△△円の範囲内で連帯して保証する。

・連帯保証人は賃貸人に対し、賃借人が本契約上において負担する一切の債務を賃貸借契約締結時の賃料の△ヶ月分相当額の範囲内で連帯して保証する。

 

民法改正により賃貸契約の更新時に必要な手続き

2020年4月1日以前に極度額を設定しないまま連帯保証人をとっている場合、自動更新の契約はどうなるのでしょうか。

民法改正後に契約更新時に連帯保証人も署名・押印を求めるような更新契約書の場合は、「極度額」の定めが必要であると法務省から見解です。

では、貸主と借主のみが更新契約書に署名・押印する場合や、そもそも自動更新で特に更新契約書の取り交わしをしない場合の取り扱いはどうなるでしょうか。

 

民法改正前の契約における連帯保証人の取り扱い

原則的には、改正後の民法が適用されます。

ただし、連帯保証人の保証内容が、賃貸契約の更新後も保証するという内容で締結されており、かつ民法改正後の自動更新で、保証内容がそのまま継続している時は、改正前の民法が適用となります。

つまり、極度額として金額が定められていない内容でも、契約は無効とはなりません。

賃貸契約が更新されるときは、連帯保証人へあとでトラブルにならないように、連帯保証人としての保証すべき内容に変更がないことをお伝えする方が親切です。

 

民法改正で連帯保証人に設定する極度額の相場はいくらか

極度額を定めるに当たって、金額の明確な基準はありません。

例えば100万とか1,000万円と設定することも可能ではありますが、高額の場合、連帯保証人となる人が連帯保証人となることに二の足を踏む可能性があります。

国土交通省の「極度額に関する参考資料(平成30年3月30日付)」によりますと、平成9年11月から平成28年10月までの91件の裁判で、借主の滞納家賃について、連帯保証人の負担として確定した額は、家賃の13.2ヶ月分が平均となっています。

いくらに設定するか迷った場合に、根拠として参考にしてみてくださいね。

 

民法改正後の連帯保証人への督促の注意点

民法改正により、極度額を契約において新しく定めた連帯保証人に対して、当然のことながら極度額を超えた金額を負担させてはいけません。

また、督促をする損害が極度額の範囲に収まっている金額だとしても、次のような督促は違法行為とみなされる可能性がありますので注意してください。

・早朝や深夜(概ね21時~翌8時)に突然の訪問や電話催告

・同居人への支払いを請求

・帰宅を促されたのに帰らない

・脅すような言葉遣い

 

民法改正後に需要が増す保証会社の役割

連帯保証人の代わりに、家賃を保証してくれる会社が保証会社です。

保証会社を利用した場合のメリット・デメリットを紹介します。

・メリット

大家さんからすると、親族や知人に連帯保証人をお願いできなかった人でも、家賃保証会社を活用することで、入居者を広く募集することができます。

また、家賃が滞納となってしまった場合に、保証会社が立替払いをするので、連帯保証人へ家賃の請求をする手間を省くことができます。

・デメリット

大家さんにとってデメリットはありませんが、借主からすると、「保証料」が必要となります。

保証料は保証会社によって様々ですが、賃料の50%前後(ひと月の家賃が50,000円の場合は、約25,000円が保証料)が目安となりそうです。

賃貸契約の時に1度支払い、それ以降は、更新の時に決まった費用を支払う保証会社が多いです。

保証会社のメリット・デメリットを理解した上で、うまく活用したいですね。

 

民法改正で変わる!事業用融資や賃貸契約での連帯保証人や保証会社 まとめ

・民法改正により、連帯保証人を付ける時は連帯保証人の責任限度額である極度額の設定が必要

・賃貸契約において、民法改正前の契約は改正後に自動更新をしても旧民法のまま引き継がれる契約もある

・極度額の設定に基準はないが、連帯保証人が負担する額の平均は家賃13.2ヶ月

・保証会社の活用により連帯保証人の代わりに家賃の保証を受けられる

民法改正で連帯保証人の取扱いの変わった点について解説をしてきました。

理解を深めて、誤りのない契約や運用をしていきましょう。

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